道産木材データベース


サクラ類(バラ科サクラ属)


 ※スモモ属(Prunus)を分け,狭義のサクラ類をサクラ属(Cerasus),シウリザクラ,エゾノウワミズザクラ等をウワミズザクラ属(Padus)とする見解がある。

エゾヤマザクラ
名称  和名:エゾヤマザクラ
     別名:オオヤマザクラ(大山桜),ベニヤマザクラ
    (紅山桜)
     アイヌ語名:カリンパニ karimpa-ni (桜皮の木)など
     漢字表記:蝦夷山桜
     英名:Sargent cherry
学名  Prunus sargentii Rehder
分布  北海道,本州(中部以北),千島,サハリン,朝鮮半島

シウリザクラ
名称  和名:シウリザクラ
     別名:シオリザクラ,ミヤマイヌザクラ(深山犬桜)
     アイヌ語名:シウリ siw-ri(siw-ni:苦い木から転訛)など。和名,
    学名ともアイヌ語名起源の珍しい例
     漢字表記:朱利桜
学名  Prunus ssiori Fr. Schmidt
分布  北海道,本州(中部以北,壱岐),南千島,サハリン,
    中国東北部,ウスリー

生態・形態
 エゾヤマザクラは山地に生える落葉高木で,高さ25m,太さ1.3mに達する。樹皮は光沢のある紫褐色。若葉は赤褐色,成葉はほぼ楕円形で先は尾状にとがる。腺で終わる鋭鋸歯がある。花は5月に葉と同時に開く。実は赤から紫黒色に熟す。

 シウリザクラは山地に生える落葉高木で,高さ20m,太さ50cmに達する。樹皮は灰褐色で縦に裂け,不規則な小片となってはげる。若葉は紅色,成葉は長楕円形で長さ8〜13cm,尾状に鋭くとがり基部は心形,針状にとがった細鋸歯がある。葉柄の上部に腺点がある。花は10〜15cmの総状花序で葉よりも遅れて咲く。実は暗紅色から黒色となる。

その他のサクラ属
ミネザクラ(タカネザクラ)Prunus nipponica Matsum.
 幹は直立せず,基部から分岐する。樹皮は暗灰色で光沢がある。亜高山帯にまで分布し,初夏まで花が見られる。葉柄,花柄に毛があるものがチシマザクラvar. kurilensis (Miyabe) Wilsonで釧路・根室地方では桜前線の観測対象種。
カスミザクラPrunus leveilleana Koehne
 山地に生える落葉高木で,高さ20m,太さ60cmに達する。ヤマザクラより2週間ほど遅く,淡紅色の花を葉と同時に開く。
ミヤマザクラ(シロザクラ)Prunus maximowiczii Rupr.
 深山に生える落葉高木で,高さ15m,太さ30cmに達する。サクラの中では遅く,5月下旬に葉より少し遅れて白い花を開く。
エゾノウワミズザクラPrunus padus L.
 山地に生える落葉高木で,高さ15mに達する。花は葉より遅れて総状花序に付ける。
ウワミズザクラPrunus grayana Maxim.
 山野に生える落葉倒木で,高さ15m,太さ50cmに達する。北海道では南西部に分布。

木材の性質
 散孔材でやや重硬。辺心材の境界は明瞭。辺材は淡黄褐色,心材は褐色。年輪はやや不明瞭。肌目は精。ピスフレックが現れることが多い。

※上記の性質は本州以南に分布するヤマザクラのものですが,他のサクラ類もおおむね類似しています。
 木材の性質それぞれの意味については,連載1回目の2007年12月号で説明しています。

主な用途
 サクラ類の材はかつて,やや硬質の散孔材の代表として広い用途に使われたが,蓄積がきわめて少なくなってしまったため,大部分はカンバ類に取って代わられた。種の区別はほとんどなくサクラ材として扱われ,器具材,家具材,機械材,楽器材などに用いられる。実際の出材はシウリザクラが多いと思われる。樹皮が細工物に使われる(シウリザクラなどいわゆる桜肌でない樹種を除く)。
 エゾヤマザクラは北海道の代表的なサクラで,公園や庭によく植えられ,花見といえばエゾヤマザクラの花である場合が多い。

林産試験場によるサクラ類を利用した研究成果
木製サッシ
 シウリザクラが持つ保存性と気密性の良さから高性能のサッシを開発,商品化した。

引用(木材の性質に関する数値等)

・日本の木材:(社)日本木材加工技術協会 1989

参考

・原色日本植物図鑑 木本編【II】:北村四郎・村田源 保育社 1979
・日本の野生植物 木本I:佐竹義輔ら 平凡社 1989
・図説樹木学−落葉広葉樹編−:矢頭献一・岩田利治 朝倉書店 1966
・木の事典第1集第3巻:平井信二 かなえ書房 1980
・知里真志保著作集 別巻I 分類アイヌ語辞典 植物編・動物編:知里真志保 平凡社 1976