林産試験場では,積雪地に適した木製のガードレール「ビスタガード」を,北海道産木材利用協同組合と共同開発し,同組合が本格的に販売を開始しました。
先立つ6月3日,実物をお見せできるように,北海道産木材利用協同組合の協力の下,林産試験場構内の一角に北海道型木製ガードレール「ビスタガード」を全長約18mにわたって設置しました。その際,設置の作業性が鋼製ガードレールと変わらないことをお見せするために,見学会を開催し,関係者を含め70名以上の方々に参加いただきました。
ここでは,このビスタガードの普及のために,設置の手順をご紹介します。
今回,製品化されたビスタガードは,平成16〜17年度に北海道産木材利用協同組合と共同研究を行い1)基本設計を行った後,21年度に再び共同研究を行い,実用化することができました。この実用化のためには,国土交通省の定める実車衝突試験に合格する必要があります。ビスタガードは22年3月に,この試験に合格し,晴れて車両用防護柵(B種)として設置することが可能となりました。詳細は,林産試だより2010年5月号2)をご覧ください。

ガードレールの構成(写真1)は,直接地面に埋め込む支柱,支柱に取り付け,ビームを支えるブラケット,路外逸脱を防ぐビームからなります。
そしてビスタガードはビームに12cm角のカラマツ集成材を用いています(写真2)。
ブラケットに曲がりをつけることで(写真3),カーブやコーナーに合わせて設置することが可能となります。今回は,庁舎南側から裏側のコーナーに設置することにしました(写真4)。
まず,支柱を埋め込みます。認定を受けたスパンは3mで,3m間隔に,またコーナー部はこれより短い2mで,曲率半径5.7mとして,支柱を埋め込むための印をつけます。支柱は機械で打ち込みます(写真5)。その際,耐雪型とするためには根巻きコンクリートを取り付ける必要があります。今回は端部2本の支柱に根巻きを施すことにしました。根巻きをする場合は先に約50cm角の穴を掘ったあと,打ち込みます(写真6)。穴の底に基礎材となる砂利を敷いたあと,コンクリートブロックで支柱を挟み込み,ボルトでブロックと支柱をつなぎます(写真6の→の穴にボルトを通す)。固定はボルト・ナットで締めたあと,セメントで接着し(写真7),埋め戻します。
固定した支柱に,ブラケットを取り付け,このブラケットに山形鋼を取り付け,支柱間をつなぎます。この山形鋼にカラマツ集成材を取り付けることでビスタガードは完成します(写真8)。この集成材3mは一人でも持つことができる重さ(約20kg)です。なお,この集成材は防腐処理をしておらず,木材保護塗料を塗っただけです。

集成材の取り付けは,写真9に示すように,45 ゚傾かせています。このことにより,雨や雪がたまりにくく,塗装だけでも長期にわたり腐らないと考えています。また,除雪時の雪による加重も,角度が付いていることで分散させることができます。なお,接触時の車両へのくい込みを防ぐよう,車道側の角は落とすともに,すべての角は面取りしてあります。山形鋼への取り付けは破線に示す方向に4箇所ボルトを通し,下側からナットを締め付けます(写真10)。写真2にあるようにナットを締め付ける穴は直径3cm,深さ3cmありますが,下側を向いているため,水がたまることはありません。
端部は,車が突っ込んだときに,刺さらないよう,道路に並行ではなく,少し後側に反り返してあります(写真11)。


今回開発した北海道型木製ガードレールは,景観を重視しており,眺めを意味するイタリア語から「ビスタガード」としました。17年度の段階ではビームが3本でしたが,今回2本にすることができ,ビームの間からも路外の景色が見られるようになっており,また,ビスタガード自体も景観の一部として溶け込むような意匠性を有しています(写真12)。
耐朽性の高い構造としていますが,腐ったり破損した場合は,その部分だけ取り替えることもできます。
なお,今回試験場構内に設置した場所は,木と暮らしの情報館と庁舎棟の間です。林産試験場は土曜・日曜閉庁ですが,木と暮らしの情報館は4月下旬から9月末まで,土・日曜も開館していますので,気軽にご覧になることができます。道路行政に携わっている方だけではなく,一般の方にも触れてもらい,ビスタガードの良さを実感していただければと考えています。
製品に関しては直接,北海道産木材利用協同組合へお問い合わせください。
1)今井良:林産試だより,2006年2月号「北海道型木製ガードレールの開発」
2)今井良:林産試だより,2010年5月号「北海道型木製ガードレールの実用化」